装丁に魅せられて〜物理本ならではの良さを語る〜
はじめまして、a2ush(あずっしゅ)と申します。
いままで全く本を読んでこなかった私が、最近になって本の良さに気づき、直近 3 ヶ月で 30 冊以上読むに至っている今日この頃です(備考:「本はいいぞぉ」を自分なりに言語化してみる)。
さて今回は、私が気づいた"本の良さ"の 1 つである物理本(単行本)の「装丁」の魅力について綴りたいと思います。
なお、当人は最近本好きになったばかりで、俗にいう「にわか」です。
以下の内容は、本をある程度読んだことがある・普段から読んでいる人からすれば「当然でしょ」と思うようなものかもしれませんが、一人でも多くの人に同じ感動を得てもらいたいと思い記事にしました。予めご理解ください。
「装丁」とは
そうてい 【装丁・装釘・装幀】 書物を綴(と)じ、表紙をつけ、外形を整えること。また、書物の意匠。
物理本として世に出すための作業、と言い換えることもできそうです。
本ごとに異なる装丁が施されていて、一番目につく大きな違いは表紙です。
(๑╹ω╹๑ ) < 「この表紙好き」
と、本は普段あまり読まないけど表紙カバーには惹かれた、というような体験はないでしょうか (界隈では「ジャケ買い(ジャケット買い)」という「表紙カバーが気に入ったから買う」という所作もあるようです)。
しかしながら、装丁の違いはもちろん表紙カバーだけではありません。
他の細かいところの差異も含めて認識することで、物理本により一層興味が湧いてくるはずです。
本によって違う装丁と楽しむポイント
今回は例として、ロマンス・恋愛系の小説 凪良ゆう先生の「汝、星のごとく」 の装丁を見ていきたいと思います。
Amazon 商品リンク (以下、商品説明欄より抜粋)
その愛は、あまりにも切ない。 正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。 本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。 ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。 風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。 ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。 生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。 ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
表紙カバー
カバーを彩る写真は、やはりとてもインパクトがあり綺麗です。
そして、活版印刷(?)であしらわれたタイトル文字も目を引きます。活版印刷なので文字を手でなぞると凹みが感じられ、手で触って楽しめる物理本ならではの趣があります。
表紙
カバーをぺろっとめくると表れる表紙。軽い力では決して折れない頑丈な厚紙で、触りごたえがあります。
紺色をベースに、金色の点々が描かれていますが、1 つだけ他の点々よりも大きく描かれた星のようなものが見受けられます。「汝、星のごとく」というタイトルから推測するに、これは「星」と捉えればいいのでしょうか。
本編を読み終えたあとだと、感じ方が変わるかもしれません。
花布(はなぎれ)
花布とは、本の背の上端と下端についている小さな飾り布のことを指します。ここも作品によって違いがあります。
この作品は、男女が出てくる恋愛・ロマンス系の小説です。
花布に二色使用されているのは、この男女を表しているのでしょうか。
そして色が交互にあしらわれているのは、二人が結ばれているという様子を示唆しているのでしょうか。
こちらも本編後には、見え方・感じ方が変わっているかもしれません。
しおり
個人的についていると嬉しい紐のしおり。
この本では薄緑色が使用されています。 赤色や金色、黒色ではなく、なぜ薄緑色が採用されたのでしょうか。 そこには何かしらの想い・考えがあるはずです。
見返し・遊び紙
表紙を開くと、紺一色の見返しが目に飛び込んできます。
この小説では、瀬戸内海近くの島が舞台になっているため、海を表す紺色なのでしょうか。
それとも、夜空を表現したかったのでしょうか。
もしそうだとして、なぜ青や黒色は採用されなかったのでしょうか、これも考えると面白いです。
なおこの作品では、最初と最後で同じ紺色の見返しとなっていますが、本によってはあえてここにも違いを持たせており、読み始める前と読み終えた後で目に飛び込んでくる色を分けている作品もあります。
見返しをめくると、遊び紙と呼ばれる白色の薄い紙があります。
何気ない白紙かと思いきや、よーくよーく見ると模様がありました。「なぜこんな模様があるのか」「そもそもなぜ模様の書かれた紙を挟もうと思ったのか」、考察のしがいがあります。
標題紙(とびら)
ここでは、紺色ではなく茶色が採用されていました。なぜこの色が採用されたのでしょうか。
そして標題紙をめくると、物語が始まります。
装丁を観るときの心構え
上記で「汝、星のごとく」の装丁を例に挙げつつ、「なぜそのような装丁になっているのか」についても合わせて自分なりの考えを書いてみましたが、もしかしたらおもいっきり間違えている(著者やブックデザイナー、出版社の意図と違った解釈をしている)かもしれません。
しかしながら、各々の主観によって「装丁から何を感じるか」は異なって良いはずで、感じた内容について正解・不正解はないはずです。
すなわち、「その人がそう感じたのならその人にとってはそれが正しい」のであって、装丁を見て感じたことは素直に自分の中で受け止めてあげましょう(& 他人が感じたことにヤイヤイいうのはナンセンスなので、これはやめときましょう)。
そして、装丁は本編を読む前と読んだ後の計 2 回は少なくとも観てほしいです。おそらく装丁の感じ方が変わっているはずで、自分の中で答え合わせをするような楽しみも得られます。
おわり
上記では「汝、星のごとく」を例に挙げましたが、例えば 辻村深月先生の「かがみの孤城」の装丁では、タイトルの「かがみ」にかかっているのかこんなギミック(※)があります。
Amazon 商品リンク
(※)白を基調とした標題紙(左画像)をめくると、裏面(右画像)は銀色になっており「かがみの孤城」の文字が"写し鏡"のように書かれています
そもそもこのギミック自体が目を引くものではありますが、「装丁」のあれこれについて知ってから見ると、"より"面白く感じられないでしょうか。
皆様のお家に物理本(特に単行本)があれば、どんな装丁になっているか見て楽しんでください!
また、本屋さんに立ち寄った際は、ぜひ本全体の装丁についても注目してみてください。
この記事によって、本への興味が今以上に湧いてくれたら嬉しいです。
a2ush(あずっしゅ)